เข้าสู่ระบบ「そ、そうだったな……。ユウヤ、と呼んで構わんか?」
皇帝の鋭い眼光が和らぎ、俺の反応を待つ。俺は心臓が跳ね上がるのを感じながら、緊張で強張った喉を必死に動かして言葉を絞り出した。
「は、はい……あの、お父さんと呼んでも?」
恐れ多いとは思いつつも、ミリアの父親である彼との距離を少しでも縮めたくて口にした言葉だった。すると皇帝は一瞬の沈黙の後、腹の底から響くような豪快な笑い声を上げた。
「構わんぞ! 私と最愛の娘の命の恩人でもあるしな……。この我を父とよんでくれるのか。この私を好きに呼ぶがよい、許すぞ。わっははは!」
その笑い声は広間の高い天井に反響し、先ほどまでの刺すような緊張感を吹き飛ばしていった。お互いに呼び方を確認し合い、どこか不思議な絆が生まれたのを感じたところで、皇帝の表情がふっと真剣なものへと変わった。彼は玉座の向こう側に控える国王へと、射貫くような視線を向ける。
「――して、この王城の警備はどうなっているのだ? 武装をしている者を易々と王城へ入れるとはな」
その声には、一国の主としての冷徹な怒りが含まれていた。問い詰められた国王は、肩を落として深く頭を垂れ、消え入りそうな声で答えた。
「すみません……。ユウヤ様のお陰で資金の方は改善できたのですが、兵の方がまだ集まらない状態でして……」
絞り出された謝罪には、王としての不甲斐なさと、再建途上にある国の苦しい台所事情が滲み出ていた。広間には再び、重苦しい空気が流れ始めた。
冷え切った空気の中に、斬り伏せられた若者たちの生温かい血の匂いが混じり合い、広間の重苦しさを一層引き立てていた。皇帝は床に転がる骸を無感情に見下ろし、氷のように冷徹な宣告を口にした。
「そうか……まあ良い。王城に武器を持ち込み皇帝である私と皇女である娘と、国王の命を狙ったのだ、謀反の企みだろ。そこにおる、家族親類は全員斬首だ。謀反の企みを知っておっても止めることなく、手助けををした者もおるだろう」
その言葉は絶対的な決定事項として広間に響き渡り、跪く元貴族たちの肩を絶望が叩き潰す。しかし、そんな氷の支配を打ち消すように、隣に座るミリアがムッとした表情で眉を吊り上げた。彼女は玉座の肘掛けを軽く叩き、不満を隠そうともせずに声を荒らげる。
「お父様。急に入ってきて仕切らないでください! 少し黙っていてください。続きはユウヤ様にお願いしますので!」
(ミリアさん……余計な事を言わないでください。相手は帝国を治める皇帝陛下なんだから)
俺は冷や汗が背中を伝うのを感じ、居心地の悪さに身を縮めた。一国の王を黙らせるほどの威厳を持つ人物に対して、これほどまでに容赦のない物言いをする婚約者の度胸が恐ろしい。広間の護衛たちまでもが、主君が辱められたのではないかと顔を引きつらせている。
だが、当の皇帝は、愛娘に厳しく窘められると、驚くほど素直に口を噤んだ。先ほどまでの峻烈な覇気はどこへやら、彼はまるで叱られた子供のように少し肩をすぼめ、今度はキラキラとした期待の眼差しを俺の方へと向けてきた。
無言の圧力が、先ほどの刺客の矢よりも痛烈に俺の胃を締め付ける。皇帝の大きく、それでいてどこか楽しげな瞳が、俺が何を言い出すのかを一言も漏らすまいと真っ直ぐに注がれていた。
静まり返った広間に、俺の声が低く、しかしはっきりと響き渡った。跪く者たちの絶望に満ちた視線と、皇帝の射るような眼光が俺に集中する。
「皇帝陛下とミリア皇女を狙った攻撃は未遂とはいえ許されることではない。元貴族の当主と、その妻以外は斬首。当主と妻は開放する」
その言葉を聞いた瞬間、皇帝は怪訝そうに眉を寄せ、不思議そうな顔をして俺を見つめてきた。その瞳の奥には、甘い温情を許さない厳しい統治者の色が滲んでいる。
「何だ? その甘い罰は? 謀反の企みなのだぞ」
低く地響きのような声が問いかけてくる。俺は深呼吸を一つし、真っ直ぐにその眼差しを跳ね返した。
「お父さんと……大切な婚約者であるミリアの命を狙った攻撃ですので、その罪は斬首の一瞬で終わらせはしません。一生を掛けて償ってもらいます。本人は何も出来ず、妻は仕事に夫の介護で変な企みを起こす事もできなくなりますし……自分の兄弟、子供や孫を自分のせいで死なせた事を、生きながらにして反省をして頂きます。妻には離婚の許可は出来ないように致しますし、謀反の大罪人の妻だと大々的に公示を一ヶ月間行います。生活をしてもらわないと困るので、城の外での仕事を与え食料と給金を与えますが、王都の外へ出るのは禁止と致します」
俺の言葉が重く、冷ややかに広間の空気を凍らせていく。ただ殺すよりも残酷な、終わりなき後悔と社会的制裁。それを聞いた皇帝は、しばらくの間、俺を品定めするように見つめていたが、やがて何かを納得したように何度か深く頷いた。彼の口元には、冷徹な理性を認めた男に対する微かな笑みが浮かんでいるようにも見えた。
♢帝都への旅路と予期せぬ吉報「それじゃ、帝都に向かうか……」 俺がリビングの静寂を破るようにそう告げると、向かいのソファに深く腰掛けていたシャルが、驚きと緊張がないまぜになった表情を見せた。淡いピンク色のドレスをふわりと広げ、お気に入りの場所に座る彼女は、いつもなら明るく元気な笑顔を振りまいているのだが、今はその淡いフワッとした金髪を揺らし、不安げに俺を見つめている。「て、帝都ですかぁ……?」「ん? シャルも緊張するのか?」「はい。帝都ですよ……宮殿ですよ? わたし……宮殿は苦手です」 シャルは甘えるように体を縮め、ぶるぶると小刻みに震わせた。同じ王族という立場でありながら、少しドジっ子で自由奔放な彼女にとって、他国の、それも厳格な礼式が重んじられる帝国の宮殿は、想像するだけで息が詰まる場所に違いない。そんなシャルの様子を見て、俺の隣に座っていたミリアが、不満げに頬をぷくっと膨らませた。「なんですの……その宮殿は凶悪というイメージは……そんな恐ろしい場所では、ありませんわっ」 ミリアはますます頬を膨らませ、透き通るような青い瞳を尖らせて反論した。淡い金髪が、彼女の憤りに合わせてふわりと揺れる。 ああ、なんとなく分かる気がする。それって宮殿じゃなくても同じだろう。実際、数人の王様が殺されかけてたしな……。「ユウヤ様。宮殿は、そんなに恐ろしいところではありませんからねっ!」 隣に座るミリアが、俺の腕をきゅっと抱きしめ、顔を覗き込むようにして必死に訴えかけてきた。彼女にとって、そこはただの温かな実家なのだ。 これだけ長く一緒に行動しているんだ、ミリアが大切に思っている場所がどんなところか、何となくは理解しているつもりだ。それにシャルだって、もう俺の嫁になっているんだし、俺が守るんだから安全性に問題はないだろう。 あ、でも……シャルはなぁ。
「お前! 一体何をしたんだ? 俺のファイアボールを受けて無事でいるとは……」 リーダー格の男は、宙に浮いたまま顔を引きつらせ、震える指先をこちらに向けて叫んだ。「もしかして……今のが攻撃だったのか?」 俺が心底不思議そうに問い返すと、男は屈辱に顔を赤く染め、必死に虚勢を張る。「うるさいぞ! そろそろ……師匠が来てくれる……。師匠の攻撃を受けてみれば、俺たちの凄さが嫌というほど分かるさ!」 師匠、か。このレベルの「浮いているだけ」の連中を育てた奴がどんなものか、逆に興味が湧いてくる。「どうした? 俺を待っているのか? 良い獲物でも見つけてきたのか?」 路地の奥から、低くよく通る声が響いた。現れたのは、中年の魔術師風の格好をした男だった。手にしているのは、一際大きな魔石が埋め込まれた不気味な杖。その出で立ちは確かにそれらしく見えるが、男が放つ言葉は、到底高潔な魔導士のそれではない。「……こいつが師匠と呼ばれる男か」 師匠と呼ばれるくらいだから、弟子たちよりはマシな実力があるのだろう。だが、「良い獲物」という言葉からは、彼らが日常的に通行人を襲い、略奪を繰り返している事実が透けて見える。 俺の隣で、ミリアが嫌悪感を隠そうともせず、透き通るような青い瞳を冷たく細めた。「ユウヤ様、あの方からは非常に下品な臭いがいたしますわ。このような者が街を闊歩しているなんて、教育の必要がありそうですわね」 ミリアの静かな怒りが再燃し始めるのを感じながら、俺は新しく現れた「師匠」とやらの力量を測るべく、静かに身構えた。「師匠! こいつら、俺たちの魔法が効きません! 普通の奴じゃないです!」 弟子たちが必死に訴えかけるが、その間も彼らはぷかぷかと中途半端に浮いたままだ。見れば見るほど、その姿は滑稽でしかない。浮いていると踏ん張りが利かないから、一撃受ければ木の葉のように吹っ飛ぶだろうし、何よりそのドヤ顔が…&hell
その光景を眺めていた騎士団長が、憑き物が落ちたような表情で俺に向き直った。「この騎士団はあなたのおかげで、今日を境に良い方向へ向かいそうだ。ありがとう!」 騎士団長は、今日何度目かになる深い一礼を俺に捧げた。その後、彼は生き残った団員たち全員に聞こえるように、朗々とした声で宣言した。これからは門地や階級に関わらず、等しく実力と規律によって評価し、上級貴族であっても例外は認めないと。 静まり返った戦場に、かつての腐敗した空気を切り裂くような、新しい騎士団の胎動が響いていた。♢ミリアとの遭遇 王城へ無事に帰還した後、騎士団は血相を変えて国王への報告へと向かっていった。重々しい空気の隊列を見送りながら、俺は人混みに紛れてこっそりと抜け出した。せっかく訪れた初めての街だ。このまま堅苦しい城の中に閉じこもっているなんて、俺の性分には合わない。 鼻歌混じりに城壁の出入り口へと足を向けると、そこにはなぜか、見慣れた装備に身を包んだ護衛の集団が整然と待ち構えていた。「ユウヤ様、どちらへ?」 鈴を転がすような、それでいてどこか逃げ場を許さない響きを含んだ可愛い声が鼓膜を叩く。あ……このタイミング、この声。バレたか。「あ~、当然……初めての街だし、少しばかり散策をしようと思って」 俺は冷や汗を拭いながら、努めて自然な笑顔で振り返った。「へえ~そうですか。わたしを置いて、ですか?」 武装した護衛たちの間を割って、可愛らしく頬をぷっくりと膨らませたミリアが姿を現した。腰に手を当て、ジト目で見つめてくる彼女の背後には、まるで「逃がしませんよ」と言わんばかりの威圧感が漂っている。 騎士団の精鋭たちを黙らせた俺の足取りも、彼女のこの表情の前では、たった一歩も前に進めることはできなかった。「ひどいですっ。ユウヤ様! 最近いつも置いてかれて寂しいですっ」 ミリアは上目遣いに俺を睨みながら、いっそう頬を膨らませた。その仕草には年相応の幼さと、隠しきれない独占欲が滲んでいる。「
極限まで抑えたつもりだったが、それでも俺の瞳の奥に宿る「捕食者」の光を隠すことはできなかったらしい。 副団長の顔からは一瞬で血の気が失せ、土気色へと変わった。ガチガチと歯の根が合わない音が聞こえ、彼は支えを失った人形のように、その場に腰を抜かして座り込んだ。 俺を見上げる彼の瞳は、もはや人間を見ているものではない。深淵の底から這い出してきたバケモノを正視してしまったかのように、ただ絶望的な恐怖に支配され、激しく震え続けていた。「おいおい……お前は上級貴族様なんだろ? 下級貴族でもない、ただの元平民のゴミ以下の奴の前に座り込んで、いったい何をしてるんだ? その首でも、俺に差し出す気になったのか?」 俺は、無造作に剣を鞘から引き抜いた。キィィン、と硬質な金属音が戦場に響き、その切っ先を、腰を抜かして震える副団長の鼻先へと突き立てる。剣に宿る冷徹な殺気が、男の頬をかすめる。彼は喉を鳴らし、あまりの恐怖に瞬きすら忘れたまま、ただ銀色に輝く死の象徴を凝視していた。「いえ……その、こだわりは……捨て去ります……。心を入れ替え、現場では差別なく接するようにいたします……」 副団長は、震える声で絞り出した。その瞳からは、先ほどまでの傲慢な輝きは完全に消え失せ、代わりに深い悔悟と、それ以上に強い生存本能が支配していた。「だそうだな、その方が賢明だと思うがな。なあ? 団長も聞いたろ?」 俺は剣先を突きつけたまま、横に立つ騎士団長へと視線を投げかけた。俺の放つ冷ややかな圧迫感に、歴戦の猛者であるはずの団長もわずかに頬をこわばらせ、額に一筋の汗を流している。「あ、ああ……聞いた。そろそろ剣を収めてくれないだろうか……副団長が怯えている」 騎士団長の声には、懇願に近い響きが混じっていた。俺はふん、と鼻で笑うと、吸い込まれるような滑らかさで剣を鞘に収めた。カチリ、という静かな音が戦場に響くと、張り詰めていた空気がわずかに緩む。
「へえ……。万全なら、俺に勝てるってわけだ? 面白いな、それ……」 俺は冷笑を浮かべ、男の目の前に転がっている、先ほど叩き折った剣の残骸を爪先で小突いた。♢副団長への「再教育」「そう言うと思って、治癒薬を用意してある」 俺は懐から小瓶を取り出し、男の目の前に放り投げた。乾いた音を立てて転がったそれを、男は震える手で、泥にまみれながら拾い上げる。「そ、そうか……」「その馬鹿に一つ忠告しておいてやる。上級貴族であろうが、現場に出れば下級貴族でも上官であれば、上官に従わなければ、今回の様にモンスターにボコボコにされて死ぬことになるぞ」 突き放すような俺の言葉に、男は顔を歪め、治癒薬の栓を抜こうと指先を震わせた。「ああ……あのモンスターを倒した者に戦いを挑むなんてどうかしていた……下級貴族にひどい言われようで頭に来てしまった……クソッ!! 敵と戦い死ぬのではなく、こんなことで俺は死ぬのか……」 男は呪詛を吐くように呟く。逃げ道を失い、追い詰められ、その横顔には今更ながらに自身の招いた事態の重さが影を落としている。それでも、自分が否定された屈辱だけは拭いきれないのか、瞳の奥には昏い逆恨みの色が燻っていた。 男が覚悟を決めたように治癒薬を飲み干すと、薬液が喉を通り抜ける。即効性の極上品だったそれは、瞬時にして傷口を塞ぎ、折れた骨を繋ぎ合わせ、青ざめていた肌に生気を戻していく。 数秒前まで死を待つのみだった体が、元通りに回復した。 俺は地面を蹴るようにして立ち上がる男を見据え、抜き放った剣の重みを掌に感じていた。さあ、言い訳はすべて潰した。万全の状態で、絶望を味あわせてやるとしよう。「おおお! 体が軽く、傷も……治っている!」 男は自らの両手を見つめ、信じられないといった様子で何度も握りしめた。鎧の下でひしゃげていた肋骨も
階級社会において、相手の背景を読み違えることは死を意味する。この男は今、その自覚もないまま、自ら破滅の引き金に指をかけていた。「ゴミ、ね……。そのゴミに守られないと、全滅してたのはどこのどいつだったかな」 俺はため息混じりに、わずかに魔力を解放した。足元の小石が震え、空気が重く沈み込む。向けられた剣の先が、男の恐怖を代弁するように小刻みに震え始めた。 血を吐くような怒声を上げて、中隊長と呼ばれた男が躍りかかってきた。騎士団長が顔を強張らせて制止の声を上げるが、逆上した男の耳には届かない。 俺は「収納」から一振りの木刀を取り出した。それ自体は何の変哲もない訓練用だが、表面に高密度のバリアを極薄く、強固に纏わせる。物理的な破壊耐性を限界まで引き上げた木刀は、今やどんな名剣をも粉砕する硬度を持っていた。 直後、戦場に響いたのは鋼を叩き潰す鈍い音だった。一撃、二撃。無造作に振り抜いた木刀が、男の着ていた豪華な装飾鎧を紙細工のようにひしゃげさせていく。必死に振るわれる男の剣を、俺は紙一重でかわすことすらしない。バリアに守られた木刀でそのまま剣を叩き折り、男の胴体、腕、足を容赦なく打ち据えた。 鎧は原形を留めぬほどにぐちゃぐちゃになり、中隊長だった男は、もはや悲鳴を上げる気力もなくふらふらと膝を突く。その顔面は恐怖と苦痛に歪み、先ほどの傲慢さは微塵も残っていない。 俺は手に持っていた木刀を静かに消し、代わりに冷たく光る真剣を握り直した。横たわる男の腕、その関節を狙って剣先を突き立てる。じりじりと、体重をかけて鎧の隙間を抉り、肉へと刺し込んでいった。「自分たちの無能を棚に上げて、本当のことを言われて反省もせずに腹を立て、本当のことを言ってきた者を殺そうとするなんて、責任のある立場の者のすることなのか?」 俺の静かな問いに、男は口から泡を吹きながら首を横に振る。「王国幹部が護衛をつけるような人物に、騎士団で役職に就いている奴が、護衛対象に剣を向けて殺そうとして良いのか? まあ、それはもういいか、どうせお前は死ぬんだしな……。剣を抜き、剣を向けてきた時に殺し合いを
「はい。王国の大規模な依頼で、三十人規模のパーティを組んで複数のパーティで大規模討伐を行っても、このような数字にはなりません。頑張っている冒険者パーティでも、毎日休まずに討伐を行って一年間で、二千体いかないくらいですよ。三万三千体って、いったい何をされたんですか……」 ニーナは縋るような、それでいてどこか遠いものを見るような瞳でユウヤを見つめた。彼女の持つ冒険者の常識が、音を立てて崩れ去っているのがわかる。 そう言われても……討伐をしちゃった物は仕方ないじゃん。一応……誤魔
急いで帰路につくと、レベルアップによる恩恵は凄まじかった。脚力のみならず、心肺機能や動体視力までもが強化されており、飛ぶような速さで険しい山道を駆け抜ける。結局、馬車で数日かかるはずの道のりを、わずか半日で踏破して街へと戻ってこれた。 そのままギルドへ直行し、報告のために受付の列に並ぶ。すると、カウンターの奥で忙しなく動いていたニーナが、列の中にいるユウヤの姿をいち早く見つけ出した。 彼女はぱっと顔を輝かせ、丁寧にお辞儀をすると、弾むような足取りで駆け寄ってきた。「ユウヤ様、なにか問題でしょうか? 途中で引き返してこられたのですか?」 ニーナは眉をひそめ、縋るような眼差しで問いかけ
冗談っぽくそう告げた瞬間、建物の中から「ひっ!?」という短い悲鳴が上がり、ドタバタと慌ただしい足音が響いた。……さすがに討伐したモンスターを生き返らせるなんて、俺にもできないと思うけどさ。「お、お待ちください!! 待っていただきたい!!」 勢いよくドアが開き、中から白髪混じりの髭を蓄えた、恰幅の良い老人が飛び出してきた。その後ろからは、不安げな表情を浮かべた村人たちが恐る恐る顔を覗かせている。「わ、私は、この村の村長です……。モンスターの殲滅をしていただいたそうで……感謝をいたします。……ですが、ほ、本当に、本当に殲滅をされたのですか?」 村長は、信じられないといった様子でユウヤを
洞窟内に再び静寂が戻ると、ユウヤは女神から授かったスキルを使い、散らばった魔石の回収を始めた。「これだけデカいと、魔石も相当なもんだな……今日だけで、モンスターの大量の討伐をして随分とレベルが上ったな。そのお陰で体が随分と軽くなった気がするな。最高じゃん!」 ユウヤは自らの掌を握り込み、全身に漲る圧倒的な力を実感した。重厚な魔石を次々と収納に放り込み、ふと、自分を飲み込んだあの巨大な穴を見上げた。「どうやって、脱出しようか考えてたけど、今の身体能力なら跳躍で出れそうじゃないのか?」 深く暗い垂直の穴。以前の自分なら絶望していたかもしれないが、今のユウヤには揺るぎない自信があった。彼